子ども創造室

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2021月08月01日(日)

ななめな学校2021「衣装をつくってパレードをしよう!」

千葉市メディア芸術振興事業主催のななめな学校にて連続ワークショップを行いました。
今回のテーマは、衣装を纏って“自分ではない何か”に変身すること。
全5回のワークショップの様子と子どもたちがつくった衣装をご紹介します。
※10名全員分の衣装の紹介は一番最後の動画をご覧ください

「衣装」で変身を楽しむ。

私たちが日々身につけている服、どんな理由で選んでいるでしょう。
動きやすいから?色が好きだから?その日の気分に合わせて?
毎日着る衣服は、快適さや実用性、自分の嗜好を表現することに重きを置きがちです。

一方「衣装」には、なにかを身に纏うという行為において全く異なる面白さがあります。
ウェディングドレスのようにいつもと違う自分(=花嫁)になれたり、民族衣装のように同じを衣を身につけることで仲間だと示したり、時には職業や階級を表すシンボルにもなります。

日本では昔から、祭礼行事で神や動物に扮する仮装をして豊作を祈ったり、式典に合わせたコスチュームを身につけるしきたりがあったりと、衣装を重んじ何者かになることを通してハレの日を形づくってきました。
近年ではアニメやゲームのキャラクターになりきるコスプレ文化の広がりやハロウィン仮装への熱狂にも見られるように、その文化は形を変えて現代にも根強く継承されています。

今回のワークショップでは、“自分ではない何者かに変身できる”衣装の面白さをテーマに、10名の子どもたちとワークショップに取り組みました。

 

変身するキャラクターをつくる。

ワークショップのミッションはただ衣装をつくるのではなく、衣装を身に纏って「変身」すること。
今回は「千葉の野菜」というテーマを設定して、自分が変身するキャラクターをつくることから始めました。テーマとして用意した野菜は千葉県で多くとれる野菜のうち、こちらの10種類。

・とうもろこし
・春菊
・マッシュルーム
・かぶ
・インゲン
・さつまいも
・ししとう
・かいわれ大根
・落花生
・ねぎ



テーマにする野菜が決まったら、2つのアプローチから野菜の要素を洗い出していきます。

1つ目は「観察」。まずは実際に手に取って野菜をよく観察しました。
どんな色をしている?においはする?形に特徴はあるかな?持ってみるとずっしりしている?それとも軽い?触ってみるとどんな感触がする?・・・など、五感を最大限に使って自分が感じた要素を書き出してみました。

2つめは「調査」。本やWebサイトから引用した資料を元に野菜について調べました。
名前の由来はなんだろう?旬の季節はいつかな?どんな環境だと美味しく育つの?どんな花が咲くんだろう?
先ほどの観察とは異なり、事実に基づく野菜の情報を洗い出します。




次は野菜を観察・調査して見つけたたくさんの要素から、「これはこの野菜にしかない面白い特徴だな」と感じるものを抜き出して、キャラクターづくりへと昇華させていきます。

ここでは「落花生」をテーマにした子が、観察・調査した特徴をどんな風にキャラクターの個性へ広げていったかをご紹介します。


キャラクターの世界観を素材で表現する。

いよいよ、キャラクターの衣装づくりに突入。
まずはワークシートを使って、衣装の抽象的なイメージを考えていきます。「ごつごつ」「ぽこぽこ」「メラメラ」「シャキーン」「ゆったり」など、たくさん並ぶワードの中から5つを選択して、自分の頭の中にあるキャラクターの世界観をアウトプットします。キャラクターをより的確に表現するために取り入れる色や、特徴を表すための全体の衣装の形も合わせて想像します。

衣装は色や形だけではなく、素材によって与える印象をガラリと変えることができます。どんな素材を使うと自分の思い描くキャラクターを表現できるか考えながらマテリアルボードをつくりました。

「ジメジメしてるキャラクターだから、濡れてる雰囲気を出せるビニールを使おう」「ふわふわと可愛くて軽いイメージだから、透明の素材を使おう」など、それぞれのキャラクターの特徴に合わせて素材を選べていてとても良かったです。

 

廃材で衣装をつくる。

今回衣装をつくるために用意した素材は、地域のみなさんにご寄付いただいた廃材。
洋服や布、卵のパック、ホース、段ボール、ビニール、発砲スチロール、クリアファイル、リボン、CD、梱包材、プラカップ・・・子どもたちのために、たくさんの方がいろんな素材を提供してくださいました。

マテリアルボードを参考にしながら衣装の土台部分をつくり、装飾をして、衣装を形づくっていきます。



さらに衣装は、小道具も重要な要素。
「魔法の力を示すイメージでデザインした髪飾り」や「いろんな情報をお届けするためのマイク」など、それぞれのキャラクターの特徴に合わせて、世界観を表現するための被りものや靴・バッグにもこだわりました。



衣装に合わせてヘアメイクをする。

仕上げはヘアメイク。キャラクターになりきるために、メイク&ヘアのデザインを考えます。
今やマスクも当たり前に身に纏うもののひとつになりつつある世の中。顔の下半分はマスクのデザインもしました。

「ゴージャスな女優のイメージだから、髪を巻いてボリュームを出す」や「服装はシンプルだけど、みんなに元気をあげるアイドルだから髪はポップでカラフルな色」など、衣装では表現しきれなかった部分をメイクやヘアで表現しています。

 

衣装を身に纏って変身する。

最後はいよいよ衣装を身につけ、メイクアップとヘアセットをして、小道具を持った状態で自分のつくったキャラクターに変身です。今回はカメラでの撮影とパレードでの発表会(※8/8(日)開催予定)を舞台に、衣装を身に纏って自分ではない何者かに変身することの面白さを体感しました。

撮影では最初は恥ずかしがっていた子どもたちも、衣装を身につけると自分のキャラクターになりきって世界観を表現するようなポーズを取ることに驚きました。普段の子どもたちとは全く異なる表情が新鮮です。

10名の子どもたち全員のテーマとつくり上げたキャラクター、衣装を紹介します。
最後にはそれぞれのテーマからどんな風にキャラクターをつくったかの過程や、衣装のこだわりも含めた動画がありますので、そちらもぜひご覧ください!



★10名それぞれの衣装を説明した動画はこちら!※BGMが鳴りますので音量にお気を付けください

 

 

服を着ることにおける“ななめ”な視点。

今回は、「衣装」というツールによって“自分ではない何か”に変身できることの面白さを学びました。
初めは探り探りだった子どもたちも、回を重ねるにつれて自分のつくったキャラクターの世界観をいかに衣装を使って表現するか?ということを楽しみながら、ワークにのめり込んでいました。

このワークショップを通して、普段何気なくしている「服を着る」という行為が、ただ機能性や好みを追求するだけのものではなく
身につけるものによって、時には自分ではない誰かを演じることができたり、相手とのコミュニケーションの取り方すらも変えられるという“ななめな視点”を、子どもたちに日常の中でも持ってもらえたら嬉しいです。
きっとそれは子どもたちが何かを表現したり、課題を解決するツールのひとつとして役立つはずだと信じています。

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